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  志芸の会公演 ■第五回 新春を寿ぐ「翁」と「狂言」の会  
 
     
 
     
 
     
 
         
 
  めぐる《翁》
 

 どうやら間に合われたようですね。
 《翁》は客が席に着く前から始まっている。揚幕の奥の鏡の間では翁面が面箱に入れられ祭壇に祀られている。そう、主人公はあくまで面(白式尉面)である。その前で演者一同が盃事を行う。やがて火打石の音。「お幕」の低い声。新しい年が明ける。
 

 礼に始まる。鼓は三丁。十二丁の鼓が一斉に打ち出したという多武峰様式の華やかさを想う。「千歳」の辰巳孝弥師が若さいっぱいに舞われている間にシテは面をつける。今年の「翁」役は宝生流の金森秀祥師。振り返ってみると、第一回の高林白牛口二師から始まって、金春晃實師・豊嶋三千春師・吉井順一師と喜多・金春・金剛・観世流とめぐり、今回は宝生流である。これでいわゆる能楽五流をひとまわりした訳であり、見る側にとっては実にうれしいお年玉となっている仕掛け。このような配慮に「志芸の会」が正統を守ることを標榜するだけの生真面目さが伺える。「三番三」の大役は今回は稲田裕。
 

 七世宝生九郎は祥雲寺の前で高弟たちに結束と修行を諭したという。列席した高弟にはなんと松本長・野口兼資・近藤乾三がいた。「志芸の会」も望みは高きを願う。
 狂言は《佐渡狐》と《口真似》。大げさなことばと身振りばかりが強調されるが、狂言が中世の時代を活写した写実性は他に類をみない近代の先取りであった。ところで《佐渡狐》で佐渡に狐がいるかないかであるが、佐渡の若林家・安藤家本家共にこの曲ははずされているのが面白い。応援に茂山忠三郎師が駆けつける。
 

 棹尾を飾って忠重が《猿聟》を舞う。末尾の歌詞は《靭猿》でも謡う、通常、関西独特の地謡による附祝言だが、今回は小舞とされる本格なもの。
 ではいい機会だから覚えて帰りましょう。
「なお千秋や、万歳と、俵を重ねて面々に??、楽しゅうなるこそめでたけれ」
 
 
 
  文 関屋俊彦氏 (関西大学教授)  
 
 
 
   
         
   
 
 
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